高千穂峡 通潤橋

2012/10/05-08
高千穂峡へ

高千穂峡1.jpg

鮎やな

20年ぐらい前だっただろうか、父が延岡で同窓会があるというので運転手としてついていった。
当時まだ存在した日向港行きのフェリーに乗り、昼間は高千穂峡までドライブ。帰りがけに「鮎やな」というものを初体験した。ヤナとよばれる木や竹で組んだ堰のようなもので産卵のために河口へとやってくる落ち鮎を捕まえる漁で、やな漁のシーズンにはやな場のすぐ横手の仮設店舗で新鮮な天然鮎を食べられるというもの。
そのとき体験したヤナという不思議な仕掛けやそこで食べた鮎の味を忘れられず、いつかまたこの五ヶ瀬川の鮎やなにもう一度行きたいと、秋が近づく度に思い出すのだった。

これまでも何度か計画をたてたことはあったが、日向航路の廃止、高千穂鉄道が台風被害で運休(のち廃止)と、年を追うごとに延岡・高千穂までの道のりが遠のいて、行く機会を失ってしまっていた。
九州新幹線開業はそんな延岡・高千穂方面への道のりを近づけるものに思えた。帰路に新幹線を利用すればその日のうちに帰宅できるのだ。
そう思い立つと一気に旅のプランが沸いてきた。10月の連休に鮎やなに行こう。

旅立ち

今回の旅の目的は、まず第一には五ヶ瀬川の「やな場」で鮎料理を食べること。五ヶ瀬川の景観を自転車で堪能すること。高千穂鉄道の現状をこの目で見ること。高千穂峡と通潤橋を観光すること。そして延岡から熊本までリカンベントで走破すること。

大阪南港までは電車で輪行した。阪神福駅で乗車し九条から地下鉄中央線に乗り換えコスモスクエア駅で下車。
駅を出て自転車を組み立てATCまで自走した。別府行きはフェリー乗り場がATC脇になりかなり便利になったと思う。
南港発別府行き.jpg南港発別府行き2.jpg
手続きを済ませて乗船待ち、いつもならここで自転車のお仲間が何人か居るのだが、今回は私ひとり。自転車のスタンドをたててフェリーと記念撮影していたら積載荷物の重さもあってかスタンドが根元から折れてしまった。スタンドがないと折り畳み・展開のとき不便だが折れてしまったのでは仕方がない、軽量化と思ってあきらめよう。折れたスタンドはゴミ箱に捨てた。

フェリーに乗船しベッドに荷物を置いたらすぐにレストランに向かった。船旅のいちばんの楽しみは夕食だ。この日は連休前ということもあって結構な乗客数で、早めに並んでおかないとなかなか食べることができない。開店第1陣には入れず席が空くまで30~40分ほど待つことになった。
フェリーでの夕食.jpg
冷奴、刺身、鯖の煮付けなどをいただいた。なによりフェリーでの夕食時に飲むビールは最高においしい。

夕食後、缶ビールを買ってベッドに戻ろうと思ったが、ふと見るとエントランスでジャズライブがあるようだったので缶ビール片手に聴き入った。
別府行きフェリー内.jpg
なかなか粋なサーヴィスをするもんだね。

ジャズ演奏を聴いて心地よい気分でこれもまたフェリーの楽しみのひとつ、風呂に入り眠りについた。子どもがはしゃいで煩かったがさすがに消灯時間ごろには静かになった。

フェリー朝焼け.jpg

高千穂へ

別府港に到着。
オートバイだらけ.jpgすごい単車軍団。

延岡まで輪行するので別府駅まで走り切符を買ってホームで列車を待ってたら、おばさんに話しかけられた。
別府駅から輪行.jpg
「これ自転車? テレビで日野正平の見てるけど、ホントに自転車を袋に入れて電車乗る人おるんやね。」
テレビのおかげで輪行の知名度があがってるのは嬉しい。

特急を乗り継いで延岡駅に到着したのは11時過ぎだったかな、結構遠い。
特急の荷物置き場.jpg延岡駅.jpg

やな場


延岡城など寄り道して五ヶ瀬川を上る。
五ヶ瀬川.jpg

ちょっと道に迷いつつ、いちばん下流にあるやな場に到着。
やな場.jpg
でもこれ、昔見たやなと全然違うし、漁をやってる雰囲気もない。

堤防沿いに鮎を食べる仮設の店があったので入ってみた。
けど忙しかったせいか店員にそっけない態度をとられてほったらかしにされ、
しばらくぼーっと店の中で突っ立ってたけどなんかイヤな気分になってきたので店を出た。

やな場は上流にも何ヶ所かあったはず、まぁ気長に走りましょう。

高千穂廃線.jpg高千穂廃線1.jpg
道中ところどころに高千穂鉄道の廃線跡が見える。
この鉄道が廃線になっていなければもっと早くにこの地に来ていたはずなのに、現存するうちに乗る事が出来ず非常に残念。


肝心のやな場ですが、20年前には何ヶ所かあったのをクルマの車窓から見えたのに行けども行けども無い。どうなってんのと思いながらへいこら走ってたらやっと看板を見つけた。
「川水流鮎やな場」国道の対岸へ鉄橋で渡ったところにある。このロケーション、20年前に父と訪れた同じ場所だ!
ちょっと興奮しつつ鉄橋を渡るが、「やな漁」の仕掛けが見当たらない。
後で知った話ですが、五ヶ瀬川では天然鮎の漁獲量が激減してやな漁は壊滅状態で、やな場で食べられるのは養殖鮎なんだそうです。

高千穂廃線跡.jpg
そうそう、20年前はここに踏み切りがあったのを覚えてます。

せごしうるか塩焼き.jpg
セットメニューで塩焼き・みそ焼き・せごし・鮎飯などをいただいた。
味のほうは、みそ焼きが皮が固かった以外は概ね満足でしたけど、養殖鮎と思うとワザワザこんな不便なところまで食べに来る必要ないね。

たぶんもう二度と五ヶ瀬川に来る事は無いな。


旧道

鮎やなでちょっと遅めの昼ごはんを済ませたら先に進まないと、この日は高千穂まで走らなあかんからね。
高千穂までは国道の旧道を通ると決めていた。こっちのほうが景色が良いしアップダウンも少なそうだから。

廃線がぁ.jpg高千穂廃線跡1.jpg
ところどころ廃線跡がすごくいい雰囲気で、けどデジカメの撮影モードが悪くてケバい写真になってしまった。
こんな景色も廃線じゃなくて活きた路線だったらもっともっと魅力ある素晴らしいものなのに・・・。

もう五ヶ瀬川に来る事は無いな。


午後4時を過ぎてちょっと焦る。日が暮れるまでに宿にたどり着かねば!

と、こんな看板が!
旧道通行止め.jpg旧道通行止め1.jpg

なんと旧道が通行止め!
仕方なく矢印のとおり国道へつながる右の道を進むけどこれがとんでもない激坂。
リカンベントは坂が苦手なんですよ、旧道があるからリカンベントで来たのにこんな仕打ちって!

もう五ヶ瀬川に来る事は無い。

足ヘロヘロになりながらなんとか今夜の宿、高千穂ユースホステルに到着しました。
YH到着.jpg



  • 最終更新:2013-03-03 22:14:16

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